第1回 やっぱり”FGX”を作るゾ!
2009/10/09

ここに’88年式のゴルフⅡがある。 エンジン形式はRV型。 2ドア、左ハンドルの5速マニュアル仕様で、サンルーフ付き。 ボディ色はソリッドのブラック。 見た目こそややみすぼらしいが、走行15万㎞超の割にはエンジンほかの機械部分のコンディションは悪くなく、そこそこ手直ししていけば、立派に社会復帰を果たすだろうと思われるクルマだ。 オグラが数年前になにかとの物々交換で知人から譲り受けたもので、埼玉・日高のVW/アウディ専門工場、スタイマーに預かってもらっていたものだ。
オグラには、悪い癖がある。 まだまだ活かせる、がんばれる可能性があるのに、そのまま朽ち果てようとしているゴルフ2を見ると、ついつい手をさしのべてしまいたくなるのだ。

この’88ゴルフもそうだ。 前オーナー氏はクルマの外観を触って楽しむタイプだったようで、本来スモールバンパーであるはずの前後バンパーは、フロントがかつて一世を風靡したRSバンパー、リアにはビッグバンパーが装着されていた。 室内は、左右ドアやリアトレイに後付スピーカー。 前オーナー氏、オーディオにも凝っていたようで、このため、ドアとリムには少なからずの取り付け穴が開く。 ボディに大きな凹み、傷はないものの、左右テールレンズの側面下部に少し錆が発生していた。
どうやら、追突事故後の板金塗装がいい加減だったために、塗装が割れて発生した錆のよう。とまあ、見た目、なかなか悲しい状況にあって、オグラとしても、おいそれとは手が出せないクルマではあったのだが、それでも、いずれはなんとかしようと思っていたのである。
ただ、オグラとしては、ごく普通にオリジナル状態に戻すことはあまり考えていなかった。 もう何度も何度もやってきた。面白くない。だから、なにかこれまでとは違った方法で、この’88ゴルフを蘇らせたいと思ったのだ。で、考えたのは、コイツを最初期型のGX風に仕上げることである。

と、ここまで読み進められた方の中には、「オッ、FGXプロジェクトか?」と思われる方も少なくないと思う。そう、この9月末、学研が発行したル・ボラン別冊”フォルクスワーゲン・ゴルフ・ファン”で、オグラが展開したFGXプロジェクトである。
念のため、別冊をリポートをお読みではない方のために、FGXプロジェクトを簡単に説明しておくと--。

ご存知のように、ゴルフⅡはいま、ライト旧車としての人気を高めつつある。そうした人気が集まれば、注目は自然と旧い方へ、旧い方へと向かうはずで、三角窓付き、スモールバンパーの最初期型、GX型の佇まいが「カッコイイ」ということになる。 ところが、エンジンの燃料供給方式が半機械式のKEジェトロ式のGX型は、やや気むずかしいとされ、年式が古いこともあってメンテナンスが心配という声がある。 GTIが最終型までKEジェトロであったことを考えれば、そんなに不安はないとも思われるが、年式の古さ、すなわち防ぎようのない経年変化は確かに心配の種かもしれない。 そこで、考えられるのは、もし、燃料供給に電子制御のデジファントを使う後期型のRV型に、GX型の外観を実現し、内装もそれらしく装えば、ゴルフ最初期型のクラシックな雰囲気を気軽に楽しめるではないかということ。 FGXのFは、フェイクの意。 そのコンセプトは、「クラシカルな佇まいを気軽に楽しむ!」なのだ。

実は、このFGXプロジェクト、オグラがかなり以前ら暖めていたもので、この’88ゴルフでやってみることを考えていた。 しかし、別冊でゴルフⅡの企画をページにすることになり、急遽、埼玉・日高のスタイマーで具体化する話になったのだ。 スタイマーにあった2ドアのCLiはボディの色が、外してあったGX型の2ドアと同じ濃紺であったことも、取材を進める上で好都合。 塗装の必要がなくなるということだからだ。が、別冊では、スピニングガレージの協力も得て、一応、形を作るよう頑張ったものの、コスト、締め切りの関係もあって、中途半端に終わってしまった。 残念無念というやつだ。

そこでそこで、改めて、FGXプロジェクトを、スピニングガレージのサポートを受け、この’88ゴルフで再スタートさせようと思うのだ。

どう? ダメ?

小倉正樹

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