なぜ車屋が、脱自動車社会の提案ともとれるこんな本を?と思われるかもしれませんが、僕の個人的な感覚としては、交通インフラが一通り整備されて人工増加も止まった後の成熟した社会においては、移動手段の選択肢はなるべく多く取れるようにして補完しあいながら、お互いの利便性とコストパフォーマンス、持続性等々の諸条件の相乗効果を狙っていくのが良いと思っています。
なので、こういう本を本屋さんで見かけると、気になってしまうんですね。
…って思って買って読み進めたら、各地域や海外での事例等も交えながら、まちづくりの再デザインについてや、鉄道の単に費用対効果の計算だけでは割り出せない潜在的価値、そして最後のほうで、"豊かで成熟した社会とは…多様な価値観が存在し、それに応じた選択肢が存在すること"という一節も出てきました。よし!俺間違ってない!(笑)
クルマが好き、ということと、クルマ一辺倒になってクルマ以外の選択肢を敵視することとは違います。八百万の神様がいる日本だからこそ、並立共存の考え方は浸透しやすいと思うんですけど、相変わらず自動車業界の政治的なナニとかが強かったりするのは残念です。市場全体が伸びている時代と違うんだから、シェア確保と既得権とを同質に考えてると、早晩国ごと(あるいは地球ごと)立ち行かなくなってしまうと思うんですけどね。
この本の中でも、"近視眼的思考の壁"と題された一節があります。近視眼的な現状追認的な思考の前では、環境問題や高齢化など将来のことを考えた議論は霞んでしまう、と。
例えば、路面電車を活かしてシャッター通り化している中心街に車の乗り入れを規制して、町の再活性化をはかろう、というときに、住民アンケートにしても説明会や住民投票にしても、最初は反対意見が圧倒的多数だそうなんです。そりゃそうですよね。人の心理として、現状をガラッと変えるよりかは今のままのほうがいい、というほうが自然です。
でも、本気で危機感と将来性を見据えてまちづくりをしようという人たちがそれを実現させて軌道にのってしまえば、住民アンケートは、"やってよかった"が圧倒的多数にひっくりかえるそうです。
こんな実例を読んでいたら、市議会議員を目指すじんさんとか、地方の活性化をライフワークにしているかさみさんとかの顔が浮かびました。きっと2人とも、こういう志で、回りの雑音に囚われずに進んでるんだろうな、と。この本をおすすめしてみようかな。
お国の予算も、ただガンガン公共工事を作るんじゃなくて、今ある交通の仕組みの再構築により多くの予算をつけたり、それが成功事例として町の再活性化につながったら、そのパブリシティ効果の度合いに応じて助成金の割合を増やすとか金利優遇するとか、そんな風にできても面白いかな、なんて思ったりもしました。まぁ言うだけならカンタンなんですけど。無責任発言で気を悪くした人がいたらごめんなさいね。

と、いろいろ書いてみたものの、僕は鉄道に乗るのは好きですが、詳しいわけではないので、専門的なことはメカてつ中西に、この本を読んでもらって解説してもらおうと思っています(笑)。

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