2011/11/29
我らがニナルハズ号は、エンジン換装、ダッシュボード交換などを経て、だいぶ完成度が高まってきた。こういってはなんだが、オグラはニナルハズ号に、かなり(泣きたくなるほど?)投資している。第一回、第二回を読んでいただきたいが、このクルマ、オグラが積み重ねてきたメンテナンス、モディファイの集大成のようなものなのである。だからこそだが、いい感じに仕上がってきたのだ。

たとえば、フロントシートは左右とも、かつて雑誌の企画でプチレストア、あるいはリファインを施したものだ。ドライバーズシートは、古いレカロをリフォーム(?)したもので、室内の統一感を求めてセンター部分に純正シートの表皮を使っている。スライドレールも、サイドにレバーがある古いタイプを使った。助手席のほうは、表皮が糸のほつれで破れていたものを直したもの。確か、スピニングガレージから程度のよい4ドア用のシートを譲り受けたと思う。そいつの表皮を剥がし、この2ドア用にセットし直している。こんな直し方、楽しみ方があるということをお伝えしたかったのである。

そういうことで、シートに関しては問題がなく、むしろエンスーっぽい、分かっている人のセッティングという感じになっていた。

しかし、ドアのトリムなどの内張が問題。なぜか、GTIのものではないトリムが組み付けられていたからで、もちろん、このままでいいわけがない。で、例によって、スピニングガレージのパーツストックヤードから、シートと同色(同デザイン)のトリムを探し出して、ニナルハズ号に組み付けることにしたわけだ。なんにせよ、スピニングには少なからず中古部品がある。なにか替えたいと思う部品があったら、問い合わせしてみるべき!
 
 
 
内張交換作業の指令を受けたのは、フリーター軍団のふたり。真鍋クンと藤原サンがタッグを組む。リバプールサウンド風(分かるかな?)の華奢な外見の真鍋クンと、実は格闘技の選手が本業で小柄ながら筋肉モリモリの藤原サン。このコンビの作業は、年齢の違いというか、キャラクターの違いというか、基本的に同じ作業であるにもかかわらず、かなりやり方に違いがあって、また微妙な力関係の変化も見えて、失礼ながら、とても面白いものだった。

ちなみに、ふたりのスピニングガレージでのあだ名は、真鍋クンが“かをりちゃん”で、藤原サンが“のりかちゃん”。ともに、あだ名は女の子の名。聞けば、その由来、ネーミングの理由は、非常に安易。名字が真鍋だから、タレントの眞鍋かをりのかをりを、名字が藤原だから、女優の藤原紀香ののりかを採っている。このあだ名、呼ばれて返事をするご当人達はどう感じているのか。第三者のオグラには、スゴイ違和感があるのだが……。

なんとなくだが、左側の内張を真鍋クン、右側を藤原サンが担当することになった。大学を卒業したばかりであるものの、すでにスピニングでのバイト経験が長い真鍋クンは、何度もやってきたドアトリム交換作業とあって、手慣れた様子で外しの作業を進める。少し遅れて取りかかった藤原サンは、時々真鍋クンにどうやればいいかの質問をしながらの作業。藤原サンは、スピニングでバイトを始めてまだ日が浅い。だから、質問をする時は敬語を使う。ただし、作業を離れると、立場は逆転。会社勤めもして社会人としての経験が長い藤原サンのほうが偉くなる。

年齢の違い、あるいはキャラクターの違いのためと思われた作業の仕方の違いは、たとえば、次のようなことである。ご存知のように、ドアトリムには、下端に収納スペースであるドアポケットがつく。このドアポケット、トリムの裏側からネジで留めるようになっているが、真鍋クンは、そのドアポケットをドアトリムにただあてがってネジを回す。相手のネジ穴を確かめて締めていくわけではないので、しばしばネジは穴に入らず、空振りする。藤原サンは、ドアポケットをドアトリムにあてがいつつ、ネジ穴を目視で確認し、それに合わせてネジを締め込んでいく。したがって、空振りがない。あらかじめ、すべてのネジを半分ほど締め込んでおいて、位置決めなどに問題がないことを確認し、それから全部を締め込んでいた。

おそらく、真鍋クンは、自動車の部品の精度は高くて当たり前と思っている世代なのだろう。だから、ドアポケットはあてがうだけで、ネジ穴が一致すると考える。年齢が真鍋クンより少し上の藤原サンは、多分、どんな部品であっても多少の誤差はあるもので、それを承知の上で作業すべきと思うタイプ。慎重派というべきか。この違いは年齢の違いというよりも、あるいは社会人としての経験の差か? 藤原サンが以前の会社に造形家として務めていた(ウルトラマンメビウスの製作にも関わったそうだ)と聞けば、そうしたチェックも当然と理解できるような気がする。ドア内の、室内への水侵入防止のためのビニール張りもやってくれたが、その作業の手際のよさ、仕上がりのよさ(見えなくなるところだが)は、見事なものだった。

もうひとつ。サイドのリアガラス下のトリムを交換する時のことだが、ここでも心構えの違い(?)を見た。作業するには、トランクルームのフロアに場所を確保しなければならないが、トランクルームには次の取材のためにオーバーフェンダーが置かれていた。それをトランクルームから出すわけでもなく、やや不安定な姿勢で作業をしたのが真鍋クン。オーバーフェンダーを見るなり、それを車外に出し、足場をシッカリ確保したのが藤原サン。もちろん、ラクに作業をしていたのは、藤原サンだ。
還暦を過ぎたジジイのオグラが、この若いふたりにいいたいことは、ともあれ若いんだからいまを頑張って生きていけば、きっといつかなにかに成功するはずってことだ。様々な可能性が広がっているし、時間はまだタップリとある。羨ましい。
勝手な推測だが、藤原サンは格闘技の世界で「耐える」ということを学んでいるだろうから、なにも心配はない。すでに、チャンピオンを獲得していることは、その証左。どんな方向に進んでも、きっとなにかをつかんで、生み出してくれるはずだ。真鍋クンは、まだいってみれば社会人一年生だから、修行が足りないのもやむを得ないところ? しかし、いっておくけど、スピニングガレージは修行の場としては不向き。みんな、真鍋クンに優しすぎる。社会一般の会社は、こんなんじゃないからね。

内張がシートと同色(同デザイン)のものに変わったことで、ニナルハズ号の室内は、一気に統一感を得て、グッと落ち着いた感じになった。やっぱり、こうでなきゃ、だ。
次回は、外観をもう少し’88GTIに近づけるべく、オーバーフェンダー装着する予定。そうすれば、一応ほぼ完成ということができるので、最終チェックも実施してみたい。

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